コラム

酸性の洗剤はどんな時に使える?他の洗剤との違いや落としやすい汚れを解説

酸性洗剤は、その名の通り酸性の性質をもつpH値が3未満の洗剤を指します。pH値は0から14までの数値で示されますが、0に近いほど酸性が強く、洗浄効果も強くなるのが特徴です。お風呂の水垢や石鹸カス、キッチンの水垢、トイレの黄ばみや尿石といった主にアルカリ性の汚れを効果的に除去するのに役立ちます。

酸性洗剤は非常に強力な洗浄力を持っていますが、強力な分使用の際は注意しなければいけません。注意点を把握して使用しなければ、危険な事故を引き起こしたり、最悪の場合に死に至るような事態になったりする可能性もあります。

この記事では、酸性洗剤の基本的な情報、除去可能な汚れ、使用する際の注意点について解説します。

酸性洗剤ってどんなもの?

酸性洗剤とは、pH値が3未満である強い酸性を持つ洗剤を指します。

pH値とは「水素イオン濃度指数」のことで、その液体の水素イオンの濃度を示しています。pH値は0から14までの数値で示され、0〜6が酸性、7が中性、8〜14がアルカリ性となります。

一般的にpH値が0〜6であれば酸性ですが、洗剤に関してはpH値が3から6の範囲のものが「弱酸性洗剤」と呼ばれ、pH値が3未満のものが「酸性洗剤」とされます。pH値が0に近くなるほど酸性が強くなり、洗浄力も強くなるのが特徴です。

アルカリ性洗剤や中性洗剤との違い

酸性洗剤だけでなく、アルカリ性・中性の洗剤があります。これらの主な違いは、先ほども触れたようにpH値と、落とせる汚れの種類に違いがあります。

酸性洗剤は、キッチンのシンクやバスルームの水垢、トイレの尿石、洗面台に残る白い石鹸カスなど、アルカリ性の汚れに対して効果的です。対照的に、アルカリ性洗剤は、油汚れや焦げ付き、浴槽や排水溝のぬめり、カビなど酸性の汚れに強くなっています。中性洗剤はあらゆる汚れに穏やかに作用し、人間の肌にも比較的優しいので、おうちの掃除用クリーナーや食器洗いなど、幅広く利用されることが多いです。 ただし、洗浄力が穏やかなので、頑固な汚れには効果が薄い場合があります。

このようにそれぞれ特徴や落とせる汚れに違いがあるので、掃除する場所や対象の汚れに応じて使い分けることが効果的です。

酸性洗剤で落とせる汚れ

酸性洗剤は、次のような汚れを効果的に除去するのに適しています。

  • お風呂の水垢や石鹸カス
  • トイレの黄ばみや尿石
  • キッチンシンクに付着した水垢
  • ポットや食器洗い機の水垢
  • 鍋やフライパンのサビ
お風呂の水垢や石鹸カス

お風呂の水垢や湯垢、浴槽や風呂椅子についた石鹸カスなどに、酸性洗剤はとても有効です。お風呂は浴槽・床・壁など広い範囲に水垢が付着していることが多いので、弱酸性洗剤よりも強力な酸性洗剤を選ぶのが適しています。

さらに、スプレータイプや泡状の酸性洗剤も推奨されます。スプレータイプや泡タイプは洗浄成分が浸透しやすいので、こびりついた汚れもスムーズにとることが可能です。

トイレの黄ばみや尿石

トイレの黄ばみや尿石はアルカリ性の汚れであるため、酸性洗剤が効果的です。トイレは特に汚れやすい場所であるため、強力な酸性洗剤を使用することを推奨します。掃除によって黄ばみや尿石を取り除くことで、嫌なアンモニア臭もなくすことができます。

さらに、トイレの黄ばみや尿石は便器のふち裏にたまりやすいです。そのため細かいところにもあてて掃除できたり、容器を逆さにしても問題なく使えたりするような、使いやすい洗剤を選ぶのがおすすめです。

キッチンシンクに付着した水垢

キッチンのシンクには水垢がこびりつきがちです。かなり頑固な水垢になりがちなので、強力な酸性洗剤を利用して汚れを除去しましょう。また、酸の力で水垢を分解する水垢用洗剤や、研磨剤入りの洗剤などもあるので、汚れによって使い分けるとよいでしょう。

ポットや食器洗い機の水垢

ポットや食器洗浄機の水垢にも酸性は効果的ですが、「洗剤をそのまま使うのは…」と思われる方もいると思います。そんな時にはクエン酸がおすすめです。クエン酸とは、酸性の有機物で、レモンや梅干しなどの食べ物にも含まれる成分です。食べ物にも含まれている成分なので、安心して利用できます。最近はクエン酸を使った洗剤や掃除用品も多数販売されているので、ポットや食器洗浄機の水垢にはクエン酸を使ってみましょう。

鍋やフライパンのサビ

酸性洗剤は金属の表面を溶かし、また酸化した(錆びた)金属から酸素を切り離す「還元」という酸化の反対の作用があります。そのため、鍋やフライパンのサビには酸性洗剤を使うとよいでしょう。

酸性洗剤を使う時の注意点

お風呂、キッチン、トイレなどさまざまな場所の汚れに活用できる酸性洗剤ですが、使い方を間違えると危険な事故を起こしかねません。利用する際には以下の点に注意しましょう。

  • 塩素系洗剤との併用は危険
  • 損傷や変色が起こらないか事前にテストする

塩素系洗剤との併用は危険

酸性洗剤を使用する際の重要な注意点は、塩素系の洗剤とは一緒に使用しないことです。両方が混ざると有毒ガスが発生し、最悪の場合命の危険につながります。市販の酸性洗剤の多くは、容器に「混ぜるな」といった警告表示がされていますので、必ず単体で使用するようにしてください。

損傷や変色が起こらないか事前にテストする

酸性洗剤は強力な分、材質に与える影響も大きいです。タイルや金属といった材質に直接利用すると損傷を与えたり、変色させてしまったりするおそれがあります。タイルや金属に利用する場合は、まずは目立たない場所に少しだけ使ってテストし、問題がないことを確認してから使うようにしましょう。

また、洗剤を使った後に、洗い残しや拭き残しがあるとサビに繋がってしまうこともあるので、十分に洗い流すようにしましょう。

自分で作れる!酸性洗剤の作り方

「強力な酸性洗剤を使うのは少し不安」という方は、自分で作ってみるのもおすすめです。

クエン酸を使えばかんたんに洗剤の代わりになるものが作れます。先ほども触れましたが、クエン酸はレモンや梅干しなどの食べ物にも含まれる成分です。その安全性の高さから、最近では洗剤の成分としてクエン酸が利用されるようになりました。クエン酸は100円ショップでも入手できます。

以下は洗剤の代わりとなるクエン酸水の作り方です。

  • クエン酸とスプレー容器(500mlほどのもの)を準備する
  • 水を300mlほど入れて、小さじ2〜3杯のクエン酸を入れる
  • クエン酸の粒子が残らないようにしっかりと混ぜる

クエン酸水を作ったら、お風呂の水垢やキッチンシンクの水垢などこびりついた汚れに使用しましょう。クエン酸をスプレーして5分ほどおくと、水垢が反応して柔らかくなってきます。柔らかくなってきたら、スポンジやブラシを使って擦りとっていきましょう。

まとめ

本記事では、酸性洗剤の基本情報や対応できる汚れ、使用する際の注意点について解説しました。酸性洗剤は、pH値が3未満の強い性質を持つ洗剤で、お風呂の水垢やキッチンシンクの水垢、トイレの黄ばみや尿石など、アルカリ性の汚れに対して効果的です。

さまざまな場所に利用できますが、塩素系の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生し、最悪の場合命の危険につながります。使い方を間違えると危険な事故を起こしかねません。掃除する場所や汚れの状況などを考慮して、用途にあった洗剤を利用するようにしましょう。