コラム

洗浄剤の種類を徹底解説!汚れ別に効果的な洗浄剤も紹介

洗浄剤には家庭用から工業用までさまざまな種類があり、さまざまな汚れを落とす目的で使われます。種類によって特性が異なり、対応できる汚れや用途もさまざまですので、それぞれの特徴を理解して適切なものを使う必要があるでしょう。

本記事では、洗浄剤の概要や種類別の特徴などについて解説します。各洗浄剤が効果的に落とせる汚れについても紹介するので、「どんな洗浄剤を選べばいいの?」とお困りの方もぜひ参考にしてみてくださいね。

洗浄剤とは?

洗浄剤は家庭用から工業用まで幅広い種類があります。各洗浄剤によって対応する汚れや適した用途が異なり、洗浄機能だけでなく、除菌効果や消臭効果、漂白効果をもっているものもあり、正しく利用することで機器や器具を清潔にすることが可能です。

洗浄剤は、大きく分けると以下の3種類があります。

  • 水系洗浄剤
  • 準水系洗浄剤
  • 非水系洗浄剤

この3種類を成分ごとに分類するとさらに細かく分けることができ、それぞれ落とせる汚れや使用用途も異なります。

洗浄剤同士を組み合わせることでさらに効果が強くなるものもありますが、なかには組み合わせると危険な有毒ガスが発生するものもあります。たとえば、塩素系洗浄剤と酸性タイプの洗浄剤を組み合わせると、有毒な塩素ガスが発生します。危険な事故につながる恐れもあるので、組み合わせるのは絶対にやめてください。

洗剤との違い

洗剤と洗浄剤の違いは、汚れを取り除く際に使用する成分の作用にあります。どちらも汚れを除去する役割を果たしますが、主に界面活性剤の働きを利用するものが「洗剤」であり、酸やアルカリの作用を用いるものが「洗浄剤」と呼ばれます。

界面活性剤とは洗剤の主要成分で、油のような汚れと水になじみやすいという性質があります。汚れにくっつき、汚れを包み込むようにして剥がして、水中に分散させてくれます。

水系洗浄剤

名前の通り水を溶媒として、界面活性剤や特定の成分で作られた洗浄剤です。その成分の内容によって「酸性」「アルカリ性」「中性」に種類が分かれます。種類の区分は、0から14までの数値で示されるpH値(水素イオン濃度指数)によって決められており、0〜6が酸性、7が中性、8〜14がアルカリ性となります。

水で希釈されているものなのでコストが低く、可燃性が無いことから広範囲に安全に使用できる洗浄剤です。工業用においては多くの樹脂に使用できますが、金属は腐食が懸念されます。

酸性

錆や酸化膜といった特異な汚れを取り除くことができますが、金属に対する腐食のリスクが高く、安全性に関しては少し不安があります。また、強力な殺菌力も持ちあわせており、お風呂場の水垢やトイレの尿石などにも有効です。ただし、汚れに対しての即効性はないので、時間をかけて汚れを落とす必要があります。

アルカリ性

皮脂や油の汚れ、たんぱく質でできた汚れをしっかりと除去する力があります。コストが低く、優れた脱脂力を発揮します。しかし、その効果が強い分肌に対して大きな影響を及ぼす可能性があります。使用の際は手袋を着用し、使用後もしっかりと水で洗い流すようにしましょう。

中性

アルカリ性に比べて金属の腐食が起きにくく、非鉄金属への利用に適しています。そのため、精密部品やアルミ部品などに使用されることが多いです。また、安全性の高さから、台所用洗剤やお風呂用洗剤にも使われています。ただし、脱脂力はアルカリ性のものより若干劣ります。

準水系洗浄剤

有機溶剤と水を組み合わせたタイプの洗浄剤です。水を含む「非可燃性」と、溶剤で洗浄後に水ですすぐ「可燃性」の2つに分かれます。

準水系洗浄剤は、水系洗浄剤に比べて油を溶かす力が強いため、油汚れの洗浄に活躍します。また金属に使用可能なので、精密機器のクリーニングに向いています。ただし、水を含んでいるため錆が発生するリスクには注意が必要です。

可燃型

可燃型洗浄剤は非常に優れた洗浄力を持ち、すすぎに純水を加えることでさらに効果が向上します。代表的な例には石油系溶剤やテルペン型の製品があります。ただし、可燃性があるので消防法上の対策が必要になるうえに、排水処理対策も必要となります。

非可燃型

非可燃性の洗浄剤は水が含まれているため、引火することがなく、火災の心配がありません。元々油分溶解力も強いので、油汚れの除去に非常に効果的です。代表的なタイプには水溶性溶剤型やグリコールエーテル型がありますが、コストが高い点がデメリットです。また、水を多く含むため乾燥が遅く、錆の発生リスクにも注意しなければいけません。

非水系洗浄剤

主成分が有機溶剤で作られている洗浄剤です。水を含まず酸やアルカリなどの液性をもたないため、金属を腐食しないというメリットがあります。

また、さまざまな種類があり、「炭化水素系」「アルコール系」「塩素系」「フッ素系」「臭素系」といったカテゴリに分類されます。それぞれの種類によって引火性や毒性が異なるため、特徴を把握しておくことが重要です。

炭化水素系

浸透性が高く細かい部分まで洗浄でき、金属への腐食リスクが少ないです。脱脂力・油分溶解力も高く、さまざまな汚れを幅広く落とすことができます。炭素水素系は炭素数や構造の違いにより、ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系などにさらに細分化されます。

しかし可燃性のため、取扱いには十分注意しなければいけません。

アルコール系

この洗浄剤は浸透性に優れており、細かい部品や精密機器の清掃に適しています。比較的乾燥が早く、低コストなので導入しやすいでしょう。しかし、油分の溶解能力はあまり高くなく、可燃性があるため、取り扱いには注意が必要です。

塩素系

不燃性で分溶解力が非常に高いので、油汚れの除去に非常に効果的です。また、高い浸透性により、細かい部品の油汚れに役立ちます。ただし、毒性があるのでさまざまな法規制に触れるおそれがあります。

フッ素系

油分の溶解力が優れており、油汚れやシミなどの除去に適しています。プラスチックなどの素材も洗浄可能です。引火性がなく毒性が低いので安全に利用できるでしょう。しかし、ほかのものに比べてコストが高いというデメリットがあります。

臭素系

不燃性であり、油分を効果的に溶解する特性を持っています。特に加工油や精密機器の洗浄に適していますが、コストが高いうえに、毒性についてのデータがいまだ不明瞭であるため、使用は慎重に検討した方が良いでしょう。

【汚れ別】効果的な洗浄剤一覧

洗浄剤には多様な種類が存在し、それぞれの成分に応じて効果的に取り除ける汚れが異なります。ここでは、汚れの種類ごとに最適な洗浄剤を紹介します。

分類汚れの例洗浄剤
水溶性汚れ水溶性インク、食べ物や飲み物による汚れ、汗や尿などの分泌物水系
準水系
アルコール系
油性汚れ油性インク、塗料、非水溶性切削油、潤滑剤準水系
化水素系
アルコール系
塩素系
臭素系
固体汚れ物質の破片・切粉、食品カス、砂、ホコリ準水系
炭化水素系
フッ素系
塩素系
粒子汚れ研磨剤、ハンダくず、金属粉、ガラス粉、樹脂粉水系
準水系
複合的な汚れ
(1つの汚れが複数の成分からなっているもの)
指紋、水溶性切削油、化学物質の混ざった金属粉準水系
炭化水素系
アルコール系

まとめ

本記事では、洗浄剤の基本的な情報や各種類の特徴、それぞれの洗浄剤で落とせる汚れなどについて解説しました。

説明したように、各洗浄剤にはそれぞれ利点と欠点があり、特性も多様です。洗浄対象の汚れの成分を確認し、それにあったものを選定することが必要となります。

ただし、洗浄剤の使い方によっては危険な事故につながる恐れもあります。正しい選定・利用をして、うまく活用をしましょう。