近年、製造業の企業や工場に「省エネ対策」の実施が求められています。燃料や電気料金などの価格高騰、エネルギー効率や排出基準などの法的規則の厳格化など、さまざまな観点から省エネの重要度は一層高まっているといえるでしょう。
企業や工場による省エネ対策の取り組みを支えるために、国も多くの施策をおこなっています。そのうちの1つが省エネ対策に関する補助金です。補助金の利用によって、省エネ設備の導入費をおさえられたり、省エネ対策の策定・実施のサポートを受けられたりなど、これから省エネへの取り組みを強化したい企業・工場にとって多くのメリットがあります。
本記事では、企業が利用できる省エネ補助金制度を7つ解説します。省エネへの取り組みをおこないたい企業・工場は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
省エネ補助金とは、省エネに関する設備の導入や取り組みへの支援を目的として、補助金という形で国が費用の一部または全部を支援する制度のことです。主に経済産業省のような機関が実施しており、利用することで省エネへの投資コストを大幅に削減できるでしょう。
ここからは、企業が利用できる省エネ補助金制度を7つ紹介します。
※参照:経済産業省 資源エネルギー庁
企業や工場の省エネ設備導入・更新を促進する目的で設けられた制度です。各企業・工場に合わせた設計・製造をおこなう設備の導入、先進型設備等の導入を支援してくれます。また、対象は設備費のみではなく、設計費・工事費も対象です。
こちらの制度は、以下の2つの種類に分かれています。
種類 | 事業区分 |
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 |
|
省エネルギー投資促進支援事業費補助金 |
|
それぞれ要件や対象経費が異なるケースもあるので、自社の目的にマッチしたものを選択し、申請する必要があるでしょう。
公式:省エネルギー投資促進に向けた支援補助金|経済産業省
省エネ設備の新規導入や増設を実施したい企業・工場に対して支援をおこなうことを目的とした制度です。既存の工場に省エネ性能の高い機器を設置したり、新設するオフィスやビルなどに高効率の照明・空調を導入したりする際に利用できます。
こちらの制度は、民間金融機関などから融資を受ける事業者に対して利子補給をおこなうといった形で支援が受けられます。利子補給とは、借入者の利子負担を軽減するために行政機関が利子額分を補填することです。
公式:省エネルギー設備投資利子補給金助成事業費|経済産業省
企業の省エネを推進するための支援をおこなうことを目的とした制度です。最適な省エネ対策の策定や実施、エネルギー管理状況の診断などをおこなってくれます。
こちらの制度はさまざまな種類に分かれており、自社の目的に合わせて制度を選ぶのがよいでしょう。
事業 | 内容 |
地域エネルギー利用最適化取組支援事業 | 自社の経営状況も踏まえたうえで、エネルギー使用状況のチェックから省エネ計画の策定・実施・見直しまで一貫して支援 |
エネルギー利用最適化診断等事業 | 自社にあった省エネ診断や再エネ提案を受けられる |
中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業 | 省エネの専門家が企業や工場を直接確認し、エネルギーの利用状況や管理状況を診断 エネルギーの利用に無駄はないか、どんな削減方法が導入できるか、コスト削減につながる設備はないかなどを提案 |
IoT診断 | 「省エネ最適化診断」を受けた企業を対象に、IoTを活用した診断をおこない、細かいデータを元に省エネ対策を検討できる |
講師派遣 | 省エネのプロフェッショナルの講師を無料でセミナーに派遣できる |
公式:中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費|経済産業省
省エネ設備の導入を始め、非化石エネルギーの導入や産業廃棄物処理・抑制のための設備導入など、環境対策の促進を図る企業を支援することを目的とした制度です。以下の分野に関する取り組みが対象となります。
環境対策の促進につながる設備取得に必要な資金について、低利で融資をおこなってくれます。
公式:環境・エネルギー対策資金|日本政策金融公庫
建築物のネット・ゼロ・エネルギー化(エネルギー収支ゼロ以下)を目指すため、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実証の支援をおこなう制度です。
ZEH・ZEBとは、外皮の断熱性能等を大幅に向上・高効率な設備システムの導入によって、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネを実現した家やビルのことです。また、太陽光発電のような再生可能エネルギーも導入し、年間の一次エネルギー(化石燃料や水力・太陽光など自然から得られるエネルギー)消費量の収支がゼロとすることを目指した家・ビルとなっています。
公式:住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費補助金|経済産業省
輸送に関する分野においてさらに省エネ化を図るため、AIやIoTなどの新技術を活用する企業への補助金です。たとえば、⾞両動態管理システムを導入して運送の効率化を図ったり、省エネ技術が組み込まれた船舶がどのくらい省エネ効果を発揮しているかのデータ実験をおこなったりなど、輸送に関するさまざまな省エネへの取り組みが対象となります。
AIやIoTなどの技術活用はコストがかかってしまうケースが多いですが、できる限りコストを抑えて取り組みたい企業はこちらの補助金を検討してみましょう。
公式:AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金|経済産業省
「省エネルギー技術戦略」において重点的に取り組むべき分野として特定した「重要技術」を中心に、高い省エネ効果が見込まれる技術開発を支援するプログラムです。
脱炭素社会の実現に向けた調査・研究の支援や、課題解決への具体的な技術開発、社会の脱炭素社会につながる実用化製品の開発などに関して補助金を活用することが可能です。
公式:脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム|経済産業省
本記事では、企業が利用できる省エネ補助金制度を7つ解説しました。補助金を利用することで、省エネ設備の導入費をおさえられたり、省エネ対策の策定・実施のサポートを受けられたりなど、取り組みを強化したい企業・工場にとって多くのメリットがあります。
省エネ対策の充実度が経営に大きな影響を与えるといっても過言ではありません。ぜひ自社に適した補助金を検討し、省エネへの取り組みを進めてみましょう。