コラム

工場の暖房効率を向上させるには?ポイントを解説

冬の寒さには対策が必須です。とくに工場のような場所では適切な環境にしておかなければ、作業者の生産性の低下や健康を害するおそれもあります。また、労働環境を快適にしていなければ、従業員たちの不満にもつながってしまうでしょう。

適切な寒さ対策には暖房機器の設置がもっともおすすめです。工場のような場所で利用される暖房機器はさまざまな種類があるため、労働環境や工場の構造などを考慮したうえで、適切なものを選ぶ必要があります。

本記事では、工場で暖房が効きにくい理由や工場でよく使われる暖房機器、暖房効率を向上させるコツについて解説します。

1.工場はなぜ暖房が効きにくいのか

冬の工場はとても冷え込みやすく、十分な寒さ対策が必要です。そのため、暖房をフルに稼働させる工場も多いと思いますが、工場の環境や構造などさまざまな要因によって効果的に暖められないケースも少なくありません。工場で暖房が効きにくい要因としては以下の点が考えられます。

  • 空間が広くて天井が高い
  • コンクリートなど冷えやすい床が多い
  • 外気温の影響を受けやすい

工場は天井が高くて広い空間が一般的です。そのため、仕切りがない広い空間全体に暖房機器を設置しても、効率的に温度をあげることは難しいのです。また、暖かい空気は上に溜まる性質があるので、作業をおこなう床付近は温度が低くなります。その状態で暖房を稼働させても、なかなか室温は高くなりません。

ほかにも、工場を取り巻く環境も影響しています。工場を建設する際には一定の広さが必要です。また、排煙や騒音などの観点から郊外や沿岸部などの人家が少ない場所に建設されることが多くなっています。

このような場所は風通しが良く、街中や住宅街より冷えやすくなってしまいます。自然環境の影響を大きく受け、室内であっても外気温の影響を受けて冬は非常に冷え込んでしまうのです。

2.工場の暖房によく使われる暖房機器

工場は適切な環境にしておかなければ、作業者の生産性の低下や健康を害するおそれもあります。従業員や作業者のためにも適切な暖房機器を準備しておきましょう。ここからは工場でよく利用される暖房機器について紹介します。

石油ストーブ

石油ストーブは、灯油を燃やして暖める暖房機器です。灯油を芯に吸い上げて燃焼筒内で燃焼させ、発生した熱が燃焼筒から発せられる仕組みとなっています。電気を使わずに使用でき、業務用のものであれば即暖性も高いです。

ただし、石油ストーブには灯油が必要なので、購入して随時継ぎ足す必要があります。また、灯油を燃焼させる際は独特な匂いが発せられたり、空気が汚れてしまったりするので、定期的な換気が必要です。

電気ヒーター

電気ヒーターは、電気から熱を作り出して暖める暖房機器です。直接火を使わず、電熱線ヒーターで温風を作り出してファンなどで吹き出します。空気を汚さずクリーンで安全な暖房器具として、工場や倉庫などで活躍しています。

業務用電気ヒーターと一口に言っても、以下のようにさまざまな種類があります。

  • ハロゲンヒーター
  • シーズヒーター
  • カーボンヒーター
  • グラファイトヒーター
  • セラミックヒーター

それぞれ熱を発生させる仕組みは異なりますが、いずれも電気から熱を作り出していることから電気ヒーターの一種といえます。

ジェットヒーター

ジェットヒーターは、石油ストーブや電気ヒーターより大型で高出力な業務用のヒーターです。おもに「熱風」を利用して空間を暖めますが、大きく分けて「熱風直火式」と「熱風間接式」の2種類があります。

直火式は直接熱風を当てて暖め、間接式は熱をファンで送り出して間接的に暖めるものとなっています。両方とも高出力ですが、直火式の方がより強力な熱風が送り出されます。一方で間接式は送風口からはクリーンな熱風が出て、空気が汚れにくい利点があります。

ジェットヒーターは、出力の高さを利用して建築現場の塗装の乾燥やコンクリートの養生などでも活用されることがあります。利用範囲が広いことも大きなメリットです。

ただし、ジェットヒーターは大型で重いものが多く、設置や移動がかんたんではありません。頻繁に設置場所を変えたい場合にはあまりおすすめできません。

ブライトヒーター

ブライトヒーターは、赤外線を利用して空間を暖めるタイプのジェットヒーターです。熱風式のものと異なり、赤外線を放射して暖める仕組みのため身体の芯から暖めてくれます。

また、風の影響を受けにくいため、屋外や半屋外での利用にも適しています。取っ手やキャスターもついており、好きな場所に移動させられるようになっているので、工場や作業場所の環境に合わせて利用するのがおすすめです。

3.工場の暖房効率を向上させるポイント

工場では暖房機器を使って適切な環境にすることが大切ですが、工場の環境や構造によってはなかなか暖房が効かないケースもあります。その場合は、以下のようなポイントをおさえて暖房効率を向上させましょう。

  • 断熱対策をおこなう
  • ビニールカーテンを設置する
  • 足元に防寒マットを設置する
  • 加湿をおこなう
断熱対策をおこなう

「断熱」とは、空間内の熱の移動を抑えることをいいます。工場に断熱対策を実施することで、外気温の影響を受けづらくなり、逆に空間内の熱は外へと移動しにくくなります。そのため、工場の室温を安定させることができ、暖房効率が向上するので空調コストの削減にもつながるでしょう。また、夏の暑い時期にも効果を発揮してくれるので、一年を通して季節による温度の変化に対応できます。

おすすめは工場の壁や天井に断熱材を設置する方法です。壁や天井に施工する際は工場の稼働を止める必要がないので、業務に支障が出ることもないでしょう。

ビニールカーテンを設置する

先ほども触れましたが、空間内の空気が移動してしまうとなかなか暖房効率は上がりません。そこで工場内の適切な場所にビニールカーテンを設置して間仕切りすることで、空気の移動をコントロールできます。そのため工場内の空気が逃げることなく、室内の温度を安定させられるのです。

ビニールカーテンは設置や取り外しがかんたんという特徴もあります。専門業者による大掛かりな工事も不要なケースが多いので、設置を低コストでおこなえるでしょう。

足元に防寒マットを設置する

足元の冷え対策として防寒マットの設置が有効です。とくに立ち仕事が多い現場では、足元の冷えを軽減することで作業の集中力や効率が向上し、従業員の疲労も軽減されます。防寒マットには断熱性能が高いものも多くあるので、積極的に取り入れることで外気温の影響を受けづらい環境をつくれるでしょう。

加湿をおこなう

冬は気温が低いだけでなく湿度も低く乾燥しやすい季節です。乾燥した空気は肌から水分を奪いやすく、その気化熱により体感温度も下がります。湿度が30%変化すると、体感温度が1~2℃も変わると言われています。

そのため、体感温度の低下を防ぐためには加湿器の導入がおすすめです。加湿により体感温度が下がるのも抑えられるので、必要以上に設定温度を上げなくてもよくなるでしょう。

4.まとめ

冬の工場はとても冷え込みやすく、十分な寒さ対策が必要です。そのため、暖房をフルに稼働させる工場も多いと思いますが、工場の環境や構造などさまざまな要因によって効果的に暖められないケースも少なくありません。今回解説したポイントを抑えて、効果的に暖房を活用しましょう。暖房効率を向上させれば、従業員の健康と生産性を守れるうえに、経費削減効果も期待できます。

適切に暖房を活用し、作業者が快適に働ける労働環境を整えていきましょう。